第2回柏将棋フェスティバル


第2回柏将棋フェスティバル
〜柏市文化振興基金助成事業〜



主催:第2回柏将棋フェスティバル実行委員会
後援:日本将棋連盟 柏市教育委員会 柏地区医師会
協力:日本将棋連盟東葛支部




    日時/平成15年9月21日(日) PM12:30〜16:30
    場所/アミュゼ柏 クリスタルホール
         開場        PM12:30
         開会式      PM1〜1:15
       主催者挨拶    第2回柏将棋フェスティバル実行委員長 橋本哲也
       来賓挨拶      柏市長代理 副委員長 岡田武夫
       日本将棋連盟    石田和雄九段
    プロ棋士紹介とトークショー
       羽生善治名人・谷川浩司王位・中倉宏美女流初段
       司会 石田和雄九段
    公開対局
       第一部 早指し(一手20秒) PM1:15〜2:15
       岡崎洋五段VS勝又清和五段
       解説   石田和雄九段    聞き手  中倉宏美女流初段

       第二部   PM2:15〜4:20
       羽生善治名人VS谷川浩司王位
       解説   石田和雄九段    聞き手  中倉宏美女流初段

          ★対局中に次の一手クイズ実施

     閉会式         PM4:20〜4:30




行って来ました柏将棋フェスティバル。
いっつもお客様にばっかりレポして貰って、管理人は何をしているんだとの非難の声が上がらぬ内、管理人にもこれ位は出来るんだと言う所を見せねばならぬと思い立ち、はるばると遠くピーナツの県に行って来ました(爆)
ところが台風15号の影響で前日よりの雨。これは管理人の行いが良いからなのか(ンな訳は無い!)
♪土砂降りの〜♪雨の中〜♪ コンビニで買ったビニール傘は小さくて〜♪ ♪雨が降り掛かる〜♪

やっとこ常磐線の普通列車に乗り込んでホッと一息。(注 常磐線はやたら列車の種類が多くて、乗り慣れないとどの列車が何駅に停車するか???状態になる)それに、言いたくはないんだけれど(だったら、言うんでない!)柏って茨城の片田舎からは遠いんですよね〜 最短距離だと乗り換え多いし、乗り換え少なくすると距離長いし(イジイジ)

まあ、愚痴っても仕方ない。やっこらせと席に座って、後は柏に着くだけと、ほにゃらら〜として斜め向の席を見ると、ドッカで見たような顔。
う〜ん。もしかしてあれは…… しかし、自信がない。自慢では無いが茶々丸は人様の顔が覚えられない←威張るんでない!
でも、あれは羽生さん!おおっ、こんな電車で接近遭遇してしまった(爆)
茶「もひもひ」
羽「あ、こんにちは」
茶「こんにちは。電車で行かれるんですか?てっきり、お車か何かかと」
羽「あっ、いえ。大体、電車ですねぇ」
茶「そうなんですか。偶然、ご一緒出来て良かったです。雨の中を大変ですね。」
これ幸いと隣に座って(昼近い常磐線の普通列車はガ〜ラガラ)
後日、オヂサン@プーさんに記念撮影などと言われたが、茶々丸はごく普通の民間人で有る。そんなマニアな事は無理ってより、周りの人はこの人が将棋の羽生名人とは全然気が付かない。かなぴいけれど現実なのねん。
茶「柏って結構近くて良いところですよね」←大嘘つき!(爆)
「今日のイベントは石田先生のご依頼ですか?石田先生は柏を地元にされているんですよね。柏で精力的に普及活動をなさっているとか」
「そうそう、坂道を自転車を押して登っていく姿を目撃されたとか(笑)」
羽「そ、それは!(流石に)人違いでしょう(笑)」

話の中で、例の羽生竜王・名人就位記念特別認定問題を出し、お勉強家で有る事をそれとなくアピール。
第36問。
茶「これは8八金ですか」
羽「ええ、そうです」
無念、やっぱりか。60点取れず(爆)
他の問題も少し見て貰うが、さすがの羽生さんも一睨みと言う訳にはいきませんでした(笑)
もっと色々と話を伺いたかったのですけれど、アッと言う間に柏に到着。
茶「えっと、西口ですよね。あっ、コッチだ」
雨の中どうやって行こうかなっと考えていたら、チャンと改札口に東葛支部員がお出迎えに来ていて、
某支部員「羽生先生ですね。雨の中お疲れさまです。こちらにお車を用意して有ります」
てな訳で、アッと言う間に羽生さんは拉致されて、取り残された茶々丸は一人寂しく会場へと向かうのでした。
ちゃんちゃん(爆)







会場の「アミュゼ柏 クリスタルホール」は出来て間もないらしく綺麗なホールです。
入り口に「第2回柏将棋フェスティバル会場は2階」の張り紙を見て、入り口から真っ直ぐの階段を上ると、会場のホールの脇。
もうすでに30人くらいが列を作っていて、その列の最後尾に部下2さんが。偶然にも同じ時間に着いたみたいでつ。
「茶々丸さん」
「部下2さん。早いですね」
部下2さんは、さみ丸ちゃんと一緒でつ。可愛い妹さんでつ(笑)
kaz七段閣下も発見。
茶「え〜 鹿島杯の方では無いンですか?(笑)」
七段閣下「皆さんに言われるんですよ」とカッコイイ顔に苦笑い。
他にも沢山ネット有名人が来ているはずだけど、目に写る所には発見出来ず。

開場予定時間は12時30分から。まだ45分近く待たないといけないけれど、
茶「沢山人が並べば、早めに開場してくれますよね」
と、部下2さんと話をしていると、谷川浩司王位の到着。
薄いグレーのスーツ姿で、ふわふわ(なんかそんな印象(笑))と階段を上って来る。
うん。谷川浩司王位はオジサンでは無い(爆)

そうこうしている内に人がかなり並び始めたので(前売りは完売で、キャンセル待ちの人も結構いらしたそうです。盛会で何よりでした)運営委員の方が開場を始めてくれました。
すでに前売り券は購入して有ったので、サッサとプログラムを戴いてホールの入り口にダッシュ!
ダーッと小走りに最前列の左隅を、部下2さんとさみ丸ちゃんの分も合わせて3つゲット。舞台を見渡すには、もう少し後ろの席が見よいのだが、大盤を間近に見たかったので最前列をゲット。
これは正解で幕が上がると大盤が真ん前で、石田先生も中倉女流もドアップで見る事が出来ました(笑)



席を確保して一安心。
まだ、小一時間時間が有るので、少しリラックス。
さやかさんも発見。
「ども、ども」とご挨拶。
「うちのプータロさんは本当にしょうがないでつ」といつもの挨拶を交わします(笑)
七段閣下は、さすがに舞台を見渡せる良い席で、関係者は違います(笑)
他にも沢山ネットの有名人が来て居るんだろうけれど、マニアでない茶々丸には判別出来ません(笑)





いよいよ本番。
まずはお偉いさんの挨拶。なかなか堅苦しくなくて上手いもんでつ。
挨拶の最後は石田九段。
司会が紹介し終わってないのに、姿を見せて慌ててバック。しかも、2回も(笑)
やっと、紹介されて前の方へ。
スタンドマイクが用意してあったけれど、勝手が良くなさげで、
「マイクを持ってしゃべる癖が付いて(笑)」と、カラオケの振り(爆)と手持ち用のマイクを要求。
「柏はとても良い所です。(石田九段は10数年前から柏在住)
柏の為に出来る事をと思っていて、柏市の市制50周年の記念イベントにこの将棋フェスティバルを計画した。そしたら、実は49年だった。と言うのも、柏の将棋大会が今年で50回。てっきり、市制50周年だと思っていた。良く調べたら49年。読み違いでした(笑)
この将棋フェスティバルは一年前から計画して、最高の人谷川・羽生を呼ぶ事が出来た。素晴らしい二人です。」
と参加のお二人を賞賛して、
「でも、まだ、私も現役です」と笑いで締め括りました。
さすがにタイムピッタリ。司会席のマイクを握って
「人の仕事をとっちゃいけない」と、もう一発笑わせて挨拶は予定通りに終了でつ(笑)








  トークショー


壇上に大きな座布団が4つおかれて、座布団が舞台を圧倒してます(笑)(実物をみたい方は「将棋王国」の棋界ニュース2003年度の柏将棋祭にUPされています(笑))

石田九段が三人の簡単な紹介。三人に「柏」の印象を聞いています。
羽生さんは、お客様に「初めまして。柏は賑やかな良いところ」みたいな事を言っていましたが、谷川王位は
「これは言って良いのかな?実は今日はJT杯の2回戦目と当たっていた。(当然、勝つつもりで)丁重に断ったら、負けた方に来て下さいと言われて……
本当だったら、ここに来ているのは鈴木八段の方だった」と爆弾発言、場内爆笑。

中倉女流はご存じの通り、お姉さんの中倉彰子女流が婚約したばかりなので、盛んに石田九段に突っ込まれます(笑)
「女性は綺麗な方が得ですねぇ」(場内爆笑)

トークショーは羽生さん、谷川王位、中倉女流に石田九段が色々と質問する形式です。
「将棋の魅力とは」
羽生「一口に言うと、気楽に出来ると言う事ですね。盤と駒と相手が居れば良い。内容は奥深い。ハッキリとは解らない複雑さ」
谷川「(将棋を)覚えたのは5歳。子供の頃は勝負がハッキリ付く(と思っていた)プロになって、自分が解ったつもりになればなる程、解らない」
二人の言葉に対し、石田九段、
「感想戦で、勝つ数手前で勝ったと思ったと言いますが、本当です。強い人程そう思っている」

「将棋を始めたきっかけ」
羽生「六歳の頃、同級生の友達(注 高木君)遊びの一つだった。子供だから他に遊びは沢山有る。
小学二年生の時、大会に出て将棋道場が有ると知った」
谷川「兄弟げんかの仲裁にお父さんが、将棋を教えてくれた」
石田「これは将棋の起源ですね。将棋というのは、昔、インドの高僧(マハラジャのことか?)戦争好きで、戦争から興味を移させる為に将棋の元になるゲームが出来た」
谷川「(将棋を覚えて)もっとケンカが非道くなった」(場内爆笑)
これは有名な話。お兄さんに負けて悔しがった浩司少年が噛んだ駒が残っているとか(笑)

石田節全開でつ。
中倉さんが、将棋を始めたきっかけとして、お姉さんがお父さんに教わっていたからなんて答えると、
「お姉さん。婚約したんですよね。あなたもどう?」なんてからかってます。
舞台の袖で進行係がハラハラしていますが、
石田「トークショーは直ぐ終わる」なんて煙に巻いてます(笑)

「対局の結果は家族に知らせますか」
羽生「一応、知らせる。が、知っている事が多い。ファンが知らせてくれるんですね。(今は)ネットで早い。
知らせ甲斐が無い(笑)」
谷川「ネットは見ているけれど(奥さんは)形勢が解らない。(ネット以外は)向こうからは問いにくいので、こちらから知らせる。
遠い時は電話で知らせる」
石田「私は教えない。見捨てて居る訳では無いが教えない。そんなものです」(場内爆笑)

ファンの質問
「羽生・谷川お二人に、お互いのどういう所が強いと思いますか」
羽生「あ〜 そうですね(いつもの口調(笑))例えば、よく言われる光速の寄せ。かなり早い段階で寄せを読み切る。
プロだから当然だけれども、谷川さんは数手手前から読み切る」
谷川「好奇心・向上心が大せい。得意戦法を取る取らないと言う事で、得意戦法を取ると勝つ確率が高いが、新しい発見が無いので、あえて(取らない方を)選ぶ」

「普段対局の無い時は何をしていますか」
羽生「勤め人と違って、何処までが仕事で何処からが休みか解らない。日課がない。
(将棋を)勉強する時間。対局が込むと難しい。合間を縫ってチョット考えるが、対局が研究。得るものが大きい」
対局が研究との言葉に対して、
石田「(今は研究が盛んだから)序盤でぼんやりしていると研究に嵌る(笑)
最初から緊張している。今は雑談している余裕が無い。昔はおしゃべりだった」
昔はのんびりやっていて、おやつが出た(順位戦の事か)序盤で悪くしてもおやつが出るまでやって、おやつが出たら投げる」
(場内大爆笑)

谷川「将棋以外は飽きっぽい(笑)
色んな事をやるようにしている。エアロバイク(情熱大陸でも出ました)掃除。一時間ぐらいやって他の事に移る」

「どんな運動をしていますか」
羽生「水泳」
谷川「エアロバイク。夏はやっていない(笑)」
中倉「運動と言えるかどうか。バイクの旅」
石田「歩いて家庭菜園。耕すのは力仕事。でも、夜飲んじゃう(爆)」

以上でトークショーは終了。
大分時間が押してしまったので、司会はアセ、アセでつ(爆)


             質問に答える羽生さん         








公開対局

第一部の岡崎五段VS勝又五段戦はトークショーが長引いた為、一手30秒の予定が急遽初手から20秒の超早指しの厳しい戦いに。
早指しなんだから相手を攪乱した方が有利ではと思われるが、駆け引きなしの矢倉戦になりました。
先手を取った勝又五段が、49手目1五歩から調子よく攻めましたが、88手目の6六歩を手抜いた為(もっとも、代わる手も難しいらしい)おかしくなり、形勢は後手に傾きました。
金を取られて後手の猛攻を受けましたが、20秒将棋の為寄せきれず、最後はピッタリ後手玉が詰んで、先手の勝ちとなりました。
岡崎五段「勝ちがあったかも」
勝又五段「6六歩を手抜いて非道くしました」
20秒将棋とは思えない好局でした。お二人に拍手です。
続いて羽生さんと谷川王位の対局。
振り駒の結果、先手:羽生さん 後手:谷川王位 
近頃流行の後手番一手損角交換戦法になりました。

後手番1手損戦法に先手棒銀はプロには、一度は試してみたい戦法だそうです。
後手は右玉模様で対抗することになって、右玉は手損に鈍感なので、手損がさほど苦にならないが、かと言って先手が損な理屈もない、不思議な戦法のようです。


実際の対局は、一手得の得を生かす為、先手が1筋からの急戦を仕掛け、危ないようですが、途中に自玉を安全にする好手も交えて、綺麗に攻めきりました。




終局後は羽生さん、谷川王位、石田九段、勝又五段、岡崎五段で、和気藹々と検討しています。

羽生「持久戦になると一手得が生きないので」
谷川「どうやったら潰されるかと思っていたら、本当に潰されました(笑)形も作らせて貰えないかと思ったが(羽生さんは)チャンと形を作らせてくれた(笑)」

プロもワクワクする将棋のようでした。
こんな対局を間近に見られて本当に良かったです。







イベント終了後お二人を囲んでの茶話会が有り、そちらでもファンの質問に答えて下さいました。

「盤面(棋譜)をどれ位覚えていますか」質問したアマ強豪は
「自分は一局指すと(指した時は)覚えているけれど、次に忘れる。(場内笑)羽生さん。谷川さんはどれ位覚えていますか」
羽生「三分の一くらい。ただ(棋譜を見れば)自分の将棋かどうかは解る」
谷川「(プロになってから)100局くらい(全部)覚えていた。今は1,600局 ほとんど覚えていない。
忘れる事は良い事。脳の容量には限界が有るから」(場内爆笑)
石田「(今)酔っ払っている」(場内爆笑)
「(棋譜を覚えている)自信が無い。30年前のは覚えて居るんですねぇ。今は、すぐ、忘れる」(場内爆笑)

「どうやったら将棋が強くなるのか」
羽生「新聞の将棋欄を見て、次の一手を考える。後、詰め将棋。(三手・四手の)手数の短い詰め将棋を考える。
解らなかったら、すぐ、答えを見る」(場内笑)
谷川「全部、答えを言われてしまった。」(場内笑)「楽しみながら勉強する。苦しんで強くなるのはプロ」

「お子さんを棋士にしたいですか?」
羽生「厳しい気がします」(色々な意味で深い答え。お子さんはお嬢さん二人。女性の棋士はいないし、また、男の子だったとしても難しいと思っておられるのかも)
谷川「子どもが棋士になると、正しい関係が出来ない(つまり、棋士にしたくない)」
お二人ともに否定的でした。

「生まれ変わっても棋士になりたいか?」
羽生「そうですね。どうでしょうね。(考え考え)将棋は覚えたい。プロにならずに楽しむのも良いでしょう」
谷川「棋士にならないといったら顰蹙でしょう(場内笑)別の世界も覗いてみたい」
石田「なる(キッパリ)」
勝又「なれたらなりたい。(なれたら)石田先生を(師匠に)選ぶ。お酒は控えたい」(場内爆笑)
岡崎「将棋を嫌いになった事はない。(生まれ変わったら)棋士を目指すかも知れない」
中倉「女流棋士という(言葉の)響きが好き。
生まれ変わっても棋士をしていたい。一番好きな事を仕事にしたんですね」

「今、気になる若手は?」
羽生「渡辺五段。今、売り出し中。他の若手も出ている(もっと下の人達)そう言う人達も出てくる。
簡単に負ける訳にはいかない。オジサンらしく頑張る」(場内笑)
谷川「羽生さんにオジサンと言われたら、私はなんと言っていいのか(笑)
羽生さん達の層が厚いので、彼らも何年も頑張らないと勝つ事が出来ない」

これは千葉の某アマ強豪の人。いつも奥さんに「将棋と奥さんとドッチを取るの」と言われているとぼやく
(場内爆笑)
で、お二人にそう言われたらどうしますか?と質問。
羽生「なんと答えて良いのか(苦笑)
その場面に遭遇した事が無いので、遭遇したら考える」(場内笑)
谷川「将棋を指してお金が貰えるので、妻も何も言わない」(場内爆笑)





本当に楽しいイベントでした。
関係者各位の方々に深く御礼申し上げます。


文中敬称略
撮影・文責 茶々丸
禁転載

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